【事件激情】ネバダたん─“史上最も可愛い殺人者”(4)佐世保小6同級生殺人事件

noriaky1112010-03-29

Chapter4 将来の夢


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*すさむ「優しい少女」


ミニバスケを退部したネバタは怒りっぽくなった。
クラスがざわつくと「うるさいっ」。給食をくちゃ喰いする男子には「汚いっ」。言葉も汚く粗暴になった。
3学期の途中までは優しい子だったけど、急に乱暴になった」という。

「優しい」というネバダ評は微妙に的を得ていない気がする。単に引っ込み思案や自己主張に薄い子が「優しい」と見られることは多い。
だがそういう子が本当に優しい心の持ち主とは限らない。

たとえばこんなことがあった。
ネバダはミタちゃんも含めて同級生10人ほどと4冊の交換日記をやっていた。ネバダは日記を毎回「NEXT ○○(次の子のあだ名)」とシメていた。それを他の子たちも気に入って同じように書き出した。
するとネバダ「パクらないで!」とむくれた。他の交換日記でも自分の言い回しやイラストをマネされることを嫌がった。
「NEXT」騒ぎのときは、ミタちゃんが謝ってNEXTを使わないようにしておさまったが、ミタちゃんは「絵文字じゃないし、パクりじゃないんじゃ」ともプチ反論している。

あやや痛いかんじだが、よくいる子だ。大人にだってたくさんいる。


交換日記ノートでネバダは、「もしあなたがバトル・ロワイアルのプログラム(クラスを殺し合いに選ばれたとします。殺しますか?」と問いかけ、「殺す」「逃げる」などの項目から選ぶように書いた。ネバダは「バトル・ロワイアル」の原作を熱心に読んでいた。二次創作の「外伝」も書いていた。


*気づかない大人、怯えるクラスメイト


担任(女)は優等生ネバダ急変に鈍感だった。学級崩壊に怯えてそれどころではなかったか。授業中に居眠りするようなった、担任(女)が気づいたのはそのくらいだった。
ネバダ男子を追いかけ、小突き回すのも見たことがあるが、「そんなに激しくではなかったから、冗談だと思った
「表情も明るかったし、文集づくりも張り切っていたし…」
ネバダがとつぜんストパーをかけてきても、「ああ親が許可したんだな」と思う程度だった。

この5年の担任(女)はのちに諸悪の根元すべての元凶とあげつらわれた。たしかに有能じゃなかったが、もともと子どもは大人には見せない世界があるし、そもそもネバダの葛藤は大人に察知されるほど表面化しなかった。家族ですら気づかなかった。最後の最後まで。

ただ周りの子どもたちは気づく。「怖い」とおそれて友だちもだんだんと距離を置くようになっていった。4月頃、ネバダは一度だけ家族に「仲間はずれにされた」と愚痴っているが、たぶんこのことだろう。


*対照的な2人。微妙に掛け違えたボタン


ネバダにとってミタちゃんの存在は大きかった。
荒れ出してそれまでの友だちから距離を置かれてしまったネバダだが、ミタちゃんは変わらず仲良くしてくれたし、退部したのを心配して気づかってくれた。

5年生終わりの文集で、
ミタちゃんは「PCを通しての、顔も姿も見えない友だち」への不安な思いを書いた。全国のネ友のことだ。でも「顔が見えないからこそ相談に乗ったりできる」
なんだか健康優良小学生。
ネットの世界に誘った“先輩”こそネバダだが、実は「Myファン」(マイミクのようなもの)は、外交的なミタちゃんの方がはるかに多くなっていた。

2人はそもそもまったく異質の人間だった。もちろん違いがよい方向に運んで生涯の友情を育むことだってあるし、そうならない場合もある。

2人は文集でそれぞれ「将来の夢」を書いた。

ミタちゃん「声優か、イラストレータになりたいです。理由は自分の絵や声をみんなに見てもらえるから」

ネバダ「将来の夢は漫画家です。ほかにもあったけど今はこれです。自分の夢をかなえられるようがんばります」


そして2004年春。2人はいよいよ6年生だ。


──学習ルームの惨劇まであと60日。 >>(5)