【事件激情】ネバダたん─“史上最も可愛い殺人者”(8)佐世保小6同級生殺人事件

noriaky1112010-04-07

Chapter8 未来日記


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■「マア大体ダレがやってるかワわかるケド」



5月30日、日曜日──。
運動会。少し雨になったが決行し、予定を繰り上げて早めに終わった。


この曜日の巡り合わせも絶妙に不幸だった。
連日顔を合わせてれば、多少頭が冷えるなり大爆発して目立つゲンカになるなりして怒りを昇華できたかもしれない。さすがに周りの大人も異変に気づいたかも…。
だけど実際には、1日おきに会って罵り合い、翌日じゅうネットで疑心暗鬼と憎悪をふつふつつのらせ、翌日その憎しみのまま争い──のくり返しになってしまった。


運動会で2人一緒に写った写真は1枚もない。

さらにこの日、何人かの同級生が、ネバダとミタちゃんの激しい言い争いを目撃。

ネバダ「てめえ、ふざけんな!」と今まで最高に激しい罵詈雑言を叫んでいた。
でもいざガチ口論となれば、ただキレてわめくネバダよりも、ミタちゃんの方がずっとうわ手だったに違いない。
ミタちゃんはその場で「絶交」を言い渡した。


帰宅したネバダは、ミタちゃんのパスワードを使ってログイン、ミタちゃんのHPを根こそぎぶっ壊した。
日記も消去、アバターも初期化。ミタちゃんのHPはすっからかんの廃墟となった。


帰宅後、これに気づいたミタちゃんによる日記への書込み。
マスコミでもさんざ出たから、おなじみだろう。

チッマタカヨ。



なんでアバターが無くなったりHPがもとにもどっちゃってるケド、ドーセアノ人がやっているんだろぅ。フフ。

アノ人もこりないねぇ。

(゜∀゜)ケケケ


さらにTOPページにも書き込んでいる。

荒らしにアッタんダ。マァ大体ダレがやってるかヮわかるケド。

心当たりがあるならでてくればイイし。

ほっとけばいいや。ネ。

ミンナもこういう荒らしについて意見チョーダイv

じゃまた今度更新しようカナ。



一方、ネバダはこの日、HPの日記で、

「今日運動会だったんだけど、ギャグ漫画並みにずるっと」コケたことだけを軽いノリで書いた。


ミタちゃんとのいさかいなんてないかのように。



この2人の暗闘。大人はまっったく知らなかった。担任やネバダの家族、ミタちゃんの父親でさえ知らなかった。


2人とも子どもの世界で決着をつけようとしていた。



■少女たちは計画を練る



5月31日、月曜日──。運動会の代休で学校は休みだ。


ミタちゃんは祖母に連れられて、サーカスを観に行った。空中ブランコや動物のショー、ピエロ。ミタちゃんは目を輝かせて喜んだ。


ネバダは母親と姉と一緒に、母親のパート先のショッピングセンターへ買い物に出かけていた。母親の職場の女性用下着売場で、セクシー下着を前にネバダどぎまぎした。そんなうぶなネバダを母親と姉はからかった。
居合わせた母親の同僚は、「和気あいあいとした家族ねえ」と微笑ましく見ていた。
このとき、そのうぶな娘の脳内で同級生の殺害計画が練られているとは夢にも思わなかった。


大人の下着に頬を赤らめていたネバダは、当初この31日にミタちゃんを呼び出して殺す計画だったらしい。でも「いろいろやるとばれる」と翌日に変更していた。


この日、ネバダはミタちゃんの廃墟化したHPにアクセスした。ネバダアバター足あとメッセージがHPに残っている。

来タ――(ォ∀`)!!アンケチュウ♥

この能天気なメッセージ…。自動生成で貼られる足あととはいえ、2人の陥ってる状況を考えるとなんだか虚しい。ネバダは自分が破壊したHPの様子を窺いにきたのだろう。そこに残されたミタちゃんの挑発をこのとき初めて見たようだ。



■未来?に書かれた最後の日記「うぜークラス」



ネバダ最後のネット日記。
日付は、2011年12月26日。なぜか未来。

「うぜークラス」はたぶん初めて、学校でのネバダと同じ毒々しさ全開で炸裂していた。


うぜークラス
つーか私のいるクラスうざったてー。
 
 
エロい事考えてご飯に鼻血垂らすわ、
 
下品な愚民や
 
失礼でマナーを守っていない奴や
 
喧嘩売ってきて買ったら「ごめん」とか言って謝るヘタレや
 
高慢でジコマンなデブスや
 
カマトト女しったか男、
 
 
 
 
ごく一部は良いコなんだけど大半が汚れすぎ。
 
寝言言ってんのか?って感じ。
 
顔洗えよ。
 








不快でも苦情は出さないでクダサイ。



このクラス全否定の果たし状のようなテキスト、なぜ未来日記になったのか。
理由はカフェスタの日記の日付設定機能にあった。2011年までしか進められなかったのだ。

(この日付の方を信じて前年2003年12月26日を書いた日として「前年からおかしかった」と分析した報道もあるが間違いだ。日記のヘッダの番号を比べると、2004年5月21日の日記より後、5月30日の日記より前に書かれたことがはっきりする。とすると最後の日記が、運動会でこけたアホ話になってしまうんだが…)


ひょっとすると、「うぜークラス」5月26日に書かれたのかもしれない。「失礼じゃないっ」発言のさらに前日だ。ケンカの前にクラスをくさす日記とは──。となると、この最後の6日間には何か別の顔が生まれる気もするが、それはもはや妄想よりも創造の域にいってしまうので、一応5月27日以降に書かれたということで…。

リミットいっぱいの未来2011年12月に設定しておけば、新しく日記を書いても常にこの「うぜークラス」が最新扱いで、ずっとトップに表示され続ける。ネバダはそれを狙っていたらしい。


クラスへの怒りとイライラと憎悪に満ちた日記を、いつまでも晒すことにして、
少女はどうしたかったんだろう。


夜9時──。ネバダはテレビで2時間ドラマを見た。水野真紀主演の「ホステス探偵 危機一発」シリーズだった。
このドラマの殺人シーンで使われた凶器はよりによってカッターナイフ。カッターで切りつけるシーンが8回も出てきた。

ネバダはドラマを見終わって決めた。



「やろう」







──学習ルームの惨劇は明日。  >>(9)

  
▽参考文献
▼取り入れなかった噂・デマ・中傷・事実と確認できなかった話