集団ストーカー被害という被害


  
いやあすごいね。
  
「集団ストーカー」という現象が。

というより、
「集団ストーカー妄想という現象が。


「監視されている」「嫌がらせされている」「盗聴盗撮されている」、
  
誰に?
「○○(某宗教団体)」「公安に」「警察に」「前の会社と今の会社が結託して」「地域ぐるみで」。
  
どういう手口で?
「周りの人の思わせぶりな態度、にやにやした態度、監視してるぞというほのめかし的言動」「個人情報の言いふらし」「外出すると、咳払いや洟すすり、前を歩く、わざと大きな足音」「ゾロ目ナンバーの車による尾行」「パソコンの不具合」「スパイウェア」「スパムメール」(ん?)「同じ人間がどこにも出没」(え?)「嫌いだった前の職場の同僚と同じ名前の同僚が異動してくる」(え?)「パトカーや消防車の近所の徘徊」(え?)「わざと家の近くで公共工事」(ん?)「ヘリのわざと低空飛行」(え?)「自衛隊機の低空飛行」(ええっ?)「思考盗聴」(えええっ?)「自転車のタイヤに放射性空」(ええええっ?)
  
まあ怖いのであんまり詳しくは触れないが。
あの騒音おばさん清水由貴子の自殺」もこれがモトともいう。
  

上にある“被害”もろもろっつうのは、「ああ、あれか」と思い至るような方々のことで決して新しくもないんだが、
最近おおいに違ってきたのは、インターネットの存在。
  
以前ならこういうことがあっても、当人と周りだけのことで終わってたのに、
いまはそれでは済まない。
ネットにはそういう人の書いたブログや、さらにそういう人たちの立てた掲示板やサイトが実にたくさんある。ひしめいている。
とくにこうなってきたのは2000年代初頭くらいかららしい。
  
だからその種の悩みを持つ人がネットで調べると、まさに自分と同じことを訴えているコンテンツにたくさんたくさん出会うんである。
当然ながら「やっぱり本当だった!」と確信する。そして情報交換してますます確信を強固にして「あれもそうだったのか、これもそうか」「今まで気づいてなかった被害」も増えていく(ここがミソ)。そうなるともうあとは(以下略)。

  
しゃて、便利な世界情報支配を目指すグーグルさんでその言葉を検索するとだ、
  

まず1番目か2番目に探偵さんのサイトが出る。
この人は盗聴盗撮発見やストーカー対策を生業にしてた探偵さんだが、あまりにそういう系の依頼が多いので、
説得して精神科医を受診させたりする、という副業まで始めた人だ。これは否定派サイト。
  
ところが、そのあとの検索結果には、まさに被害者の HPや被害者のブログつまり肯定派がずらずらずらーっと入り交じりつつ並ぶんである。
  
ほかにも「教えてください」系の投稿サイトにそういう質問がアップされると、「それはアレでナニだからすぐに医者へ」という回答と並んで「間違いなく被害に遭っています」と強く断言する回答もあり。
  
こりゃあ、どれを信じればいいか分からねえよなあ。
  
試しにそのあたりのサイトやブログに目を通すと、






おおおっと、あやうく引き込まれそうだったぜ。じーつに危ない。
思えば近くにいて接し続けると「感染する」というからな。これは偏見ではなく本当に。
  
今、とある事件について調べてるんだが、その事件の記事だどれどれと思って読んでいくと「犯人は組織的犯罪の犠牲者」と展開し、「犯人もまた集団ストーカーの被害に遭って事件を起こすよう誘導されていた!(ええええっ?)となるからもう油断してブログも読めねえや。

  
ちょっと考えれば、まったくまともな根拠はなかったりするんだが、まっただ中にいる人は確信する。だって言ってることを否定されずに全面的に認められて“満たされる”から。
たとえば、現在は閉鎖されている掲示板で、清水由貴子がまさに“確信”していく経過が音声ファイルになってたが、これはなんともはや… である。というより…あんまり聞かない方がいいな。これは。
    
いちばん厄介なのが、助言や否定、説得の類がすべて「敵一味」「工作員」「無知の仔羊たち」扱いされてしまうことだ。
すなわち、精神科医もカウンセラーも警察も友人も近所の人も、それを否定する人はみんな工作員である。近所の子どもも工作子ども。さらに飼い犬も工作用に調教、野良猫に至るまで工作猫。ネットの“被害者仲間”がその確信をがっちり支えてるからこれはじつに強固だ。そこがネット普及以前とは違う。
  
さらにネットとは真偽の検証がとてもしにくいメディアで、しかもマスコミや従来型情報権威への不信が強い(そのような方々は余計に)という風土がある。
こうして書いてるワ士でも「そりゃねえべさ」とは言えても、そのような方々が納得する証拠なんぞ出せないし出せるわけもない。いや説得も対話すらもムリだろう。だって…。
  

そしてそういう方々はヒマなのか、ネット上の発言までよくチェックしているらしく、少しでも否定的な言動を見つけると「工作員」「分かってない人」認定。「支離滅裂な論理」「こじつけ」「一面的」「一味の情報操作」「被害者の孤立化狙い」とか、まあすンごい言われようである。
  
その探偵さんはそういう事例をまとめた本も出してるんだが、

集団ストーカー―盗聴発見業者が見た真実 (晋遊舎ブラック新書 001)

集団ストーカー―盗聴発見業者が見た真実 (晋遊舎ブラック新書 001)

この本、アマゾンとかで評価をみると、★5つとか4つ(高評化)と、★1つ(低評価)がパキッと分かれている。
星1つの人たちが何をどう批判というか全否定してるかはまあ言うまでもないんだが、
  
「★1つのレビューを読んで見て欲しい。
集団ストーカー被害を訴えている方の実態が分かるから。」
というあるレビューが本当にすべてだ。
  

まあワ士のブログなど全世界で3人見てるかどうかの圧倒的アクセス数だから、たぶん気づかれないだろう。

  
で、論争狭山事件=トトロ説と同じでまったく論争になってないが)になると、この人たちの大いなる、そして最大の根拠として必ずといっていいくらい持ち出されるのが、「ンTT個人情報流失事件」で、

「元某信者のタレント福原U紀子」とか「運動家」とかの個人情報を流出させた現役信者のンTT社員逮捕、

という事件だ。
まあこのンTTの事件は実際にあった(だから厄介)んだが、よく読むとビミョーに根拠にならんような事件だし、一応はそれなりの芸能人や運動家とそのへんの人(つまりあなた)は違うんじゃないかと思うが。そこらはスルーらしい。
  
まあ○○はいかにもそういうことしそう的イメージが浸透してしまってるし、個人情報の流出とかもじっさいあったりする。ほかにも実際に複数人がストーキングにかかわった桶川ストーカー殺人事件や、一般人をアニメやマンガのキャラ認定して集団でつきまとう「なりきり厨」なんてのもあるから、「世の中にはそんなこと絶対にひとつもないっ」と言い切れないのがまたややこやしいところで。もはや悪魔の証明に近い。
  
そしてネットを通して集団となった彼らは、陰謀説好きな善意の方々も巻き込んで撲滅キャンペーンのデモなんかやっちゃったりしてるんである。しかも市や町レベルの議員くらいには当選しちゃったりもしてる。しかもその主導者連は「911陰謀説(しかも自作自演説)」の主導者と重なってたりもする。
うへえ。
  
そしてなにより問題なのは、このように同志とむすびつくことが解決どころかさらなる悪化につながってしまうことだ。そりゃそうだ。なぜかといえば…(以下略)。

  
インターネットも功罪さまざまである。

  
で、ワ士の周りにはじかにそのような人はいなかったが、知人の身内にそういう人がけっこういたりした。意外と身近なんであるな。
  
で、そのひとりである「治った」人の話だが、当時しっかりネットもチェックしちゃってたそうだが、たまたまそこで見たのが「冷静に自分の状況に対処している人たちのグループ」のサイトだったらしく、あちゃらの世界に引き込まれずに済んだそうだ。
ネットにいるのも組織犯罪陰謀派ばかりではなく、それを受け入れて「今日はこんな面白い声が聞こえた」などと報告し合うような“前向きで明るい”(?)姿勢のグループもあるという。
どうせネットに救いを求めるなら、できればそういう人たちと交流してほしいのう。