きれいごとだけでは済まない、もうひとつの結末
【事件激情】ネバダたん-“史上最も可愛い殺人者”佐世保小6同級生殺人事件
──another ending──
■凶気は増殖する
事件の裏の舞台となったカフェスタはそれから5年後、資金難で閉鎖された。
ところでカフェスタでは事件のあと、こんな噂がさかんに囁かれた。事件前日の31日、佐世保の加害少女と被害少女らしい2人がチャットで言い争っていた、と。
ネ友のHNを騙って荒らしをした少女Aがみんなに責められ、初めはかばっていた少女Bも事実に気づいて決別。Aは「明日、はなそ!」と書き込んで去った。以来2人とも消えたまま。「あの2人って、もしかして…」と分かった、という話だ。
このチャットでの争いというのは本当にあった出来事らしいが、それが例の2人かというとちと怪しい。HNもまるで違うし、事件前夜の時点で被害少女が加害少女をかばうのも変だ。
たぶん無関係で、たまたま日にちや2人の性格が似ていた、というところだろう。
ほかにも、「バトロワ好きで外伝を書いてる、バスケ経験者でちょっと病んでるっぽい中学生女子」も同時期に出没していて、これがじつは加害少女本人だったらしいという噂もある。
が、考えれば、それは加害少女のような不安定な子や、よく似たいびつな関係の少年たち少女たちが各地にたくさんいて、そして孤独に悩み苦しんでいる、ということじゃないのか?
凶気は共鳴し、増殖する。
2004年7月6日──。新潟県三条市の小学校。
教室で小6男子が隣のクラスの男子を刃渡り22cmの柳刃包丁で切りつけ、ケガをさせた。
動機は「悪口を言われた」からだった。もともと仲が悪く、切りつけた子は成績優秀で大人しく、切られた子は活発な性格だった。「親にも友だちにもどうしても相談できなかった」と少年は泣いた。
──佐世保の事件からわずか1か月後だった。
この年、小5と中2への民間教育研究団体による意識調査──。
7割が日常生活が「疲れる」と答え、過半数が「いつか自分はキレるかもしれない」と回答した。「疲れる」と答えた子は高い割合で「キレるかもしれない」と答えた。
どの設問でも女子の方がネガティブな回答が多かった。
中2女子で「疲れる」と答えたのは、87%だった。